「SPACE BLUSTER FX」



◆シリーズ3作目

 SPACE BLUSTERシリーズの3作目となった作品ですが、技術の結集ではなく「ゲーム性って何?」という、それが知りたい、求めたいという気持ちが先行して作ったようなゲームです。というのも、この作品を制作している(し始めた頃)Oh!Xに「BroadSword」という、やはりMZ-700用のシューティングゲームが発表されたというのが影響しています。ちなみに、このゲームはグラディウスなどのようにオプションがついたりパワーアップしてレーザーが使えたりします。これが結構面白いゲームで、多分最後の方までいきついた(一応一周はしたが)覚えがあります。時代がすでに16ビットマシンから32ビットあたりまで進行していた時期に、もう誰もMZ-700ではゲームは作らないだろうと思っていた矢先に、このような面白いゲームが登場したのは、「おおッ!」と喚起してしまうほどでした。とかく面白かったというのが一番でした。
 で、そういうものがでてくると対抗したくなってしまうというもので、今までの3作(ゼビウス、SB/FZ, SB/SG)を振り替えって悪かった所、つまり他の人から文句を言われた所を検証し、そこを改めていこうと考えました。ちょうど、この頃SPACE BLUSTER SGに入れておいた隠しコマンドを見て私に手紙をくれた人がいたのです。その人にゲームをプレイしてもらって文句を言ってもらうという感じで作っていました(この人、今はSEGAにいってたりする・・・)。

注意1:SPACE BLUSTER FZはエンディングに私の住所が出る仕組になってました。SPACE BLUSTER SGではタイトル画面でファンクションキーのどれか1つを押すと私の住所が出るようになっていました。


◆ゲーム性なんてわからん!

 改良すべきところは改良したもののツールの制限や不備、アセンブラおよびメモリ容量やプログラムサイズにより一部、不満な所があるものの完成しました。が、「ゲーム性」とかは、さっぱり(笑)わからないまま。雑誌などでゲーム性が低い〜なんて書かれたりする事がありますけど、面白くなければ、そう書かれてしまうのもわかります。が、どうも、この面白さというのが人によって違うらしい。全然面白くないようなゲームであっても、今までゲームをプレイした事がない人にとっては、そのゲームは面白いようです。となるとプレイする人の対象をしぼるか、ごく普通の人に向けて作るか否か? でも結局の所、完成した時点では自分では「面白い」とは思っていました。
 「ゲーム性」ってなんだ〜とわからないまま時は過ぎていきました。


◆掲載料っていくら?

 ちょっと話はそれますが、雑誌にプログラムが掲載されると「掲載誌」と「原稿料」がもらえます。マイコンBASIC Magazine、Oh!mz,Xどちらも1ページ1万円でそこから「源泉徴収」として1割が引かれてきます。つまり1ページ=9000円といったわけです。という事はプログラムの容量が大きくなれば、それだけ原稿料が増えて儲かる(笑)わけです。ただしマイコンBASIC Magazineはページ数でなく連続投稿回数(連続掲載回数)によって違います。マイコンBASIC Magazineは2ページであっても9000円ですが、これが4回だったか5回連続して掲載されると9000円から1万2000円程に値上がりします。今はどうなっているかわかりませんが。今ではプログラムを投稿する人も少なくなっていて、さらに連続して掲載される人はほとんどいません。昔は森巧尚(もり よしなお)とう人がいて、今でもマイコンBASIC Magazineでは(多分全てのプログラム投稿雑誌においては)ナンバー1の掲載回数だと思います。
 Oh!Xは作年末に休刊(廃刊)になってしまいましたが、マイコンBASIC Magazineはまだ続いていますし投稿コーナーもありますので、ゲームを作ってみたいなという人は投稿してみるのは、いかがでしょうか? Mac/Sunなどのワークステーション以外なら全機種よさそうです(MZでもいまだにOK!)。
 そうそう書き忘れましたが、あまり原稿料をかせごうと思ってはいけませんよ(笑)。金よりゲーム作ることが重要なんですから。


◆SB/FXというゲーム

 そうそう、このゲームのシステムについてちょっと説明しておきます。自機は上下左右に制限なく自由に移動できます。ぶちあたってやられてしまう壁とかはありません。自機は3連射のショットと単発のボムを装備しています。ボムは数に制限がありますが、敵の基地を破壊する事により補充できます。1ステージにはいくつか敵の基地があり、これらを全て倒すとステージクリアとなります。  ゲームは全25ステージになっており4の倍数面(4、8、12、16、20、24)がボス面になっています。最終面はボスオンパレードになっており最終ボスを倒すとゲームエンドになります。4の倍数面−1のステージは障害物を避けながら基地を倒します。
 SB/FXはSB/FZの続編になっています。ちなみにSB/SGはSIDE ROLL -F-が続編になっています。


◆続編は2つまで・・・かな

 ゲームの続編が続くと遊ぶほうもゲームシステムになれてきてしまって、だんだんと新鮮さが薄れてきます。続編は多くて3つまでかなあと思います。1番目が独特のシステムでマニア受けするようなものは、必ず続編を作って改良して出したほうがいいと思います。逆に1がかなりヒットしたら2は作らずにいた方がいいでしょう。まあ、私としてはこう思っていますけど、やっぱり実力次第かな・・・。


◆おわりに

 結果的に反響は少なく成功にあらずといった所でした。あまり同じものを作ると作者があきてしまうので、このシリーズはここで一応終わりになっています。このゲームには後日談があってOh!X編集部に遊びに行ったときに、ライターさんがこのゲーム見て「なんつ〜ほのぼのしたゲーム・・・。X68000には、こういうゲームないよな〜」と言ってました。で、作ってきたゲーム振り替えって見て見ると能天気なゲームが結構あります。本人の性格が能天気だからという話もありますが、能天気に見えてしまうゲームをあげてみます。

・SPACE BLUSTER FZ
・SPACE BLUSTER FX
・SPACE BLUSTER SG
・Eyalarth(ゲームじゃないけど入れておきます)
・Dungeon Street
・OZON

 真面目に作ろうとしても、どこか能天気になってしまいますけど、まあ仕方ないですね。こういう能天気なゲームもいいかもしれません。機会があったらプレイしてみてください。とは言っても現在プレイ可能なゲームは次の2つしかありませんが。よろしかったら、買って遊んでやってください。

東京秋葉原メッセサンオー:
・Dungeon Street (Macintosh)
・OZON (Macintosh / Windows 3.1 & 95)

ソフトベンダーTAKERU:
・OZON (Macintosh / Windows 3.1 & 95)


◆プログラム的なこと、あれこれ

 このゲーム、私が作ったゲームの中で唯一「ネームエントリー」ができます。ネームエントリーは、あまり難しくないのですが、MZ-700はフロッピーディスクではなく「カセットテープ」にプログラムなどを保存します。せっかくネームエントリーしても電源を落とせば消えてしまいます。テープに保存するとなると10秒以上かかってしまいます。このゲーム制作当時は、すでにハードディスクもじょじょに普及しはじめていました。今なら簡単にスコアを記録に残せますが、当時MZ-700の環境では難しいものがありました。それにしても楽な時代になったものです・・・
 このゲームは仮想画面全て描画するのではなく、実画面にも直接描くようにしました。とは言っても自機のショットのみですが。なぜ、このショットだけ直接画面に描くことにしたか? それ以前に仮想画面の役割を考えてみましょう。仮想画面を使った場合、次のような利点と不利な点があります。

●不利な点
(1)メモリが必要(実画面か、書き換える部分相当のメモリ)
(2)転送に時間がかかる

●利点
(1)画面のちらつきがない

 今Mac/Windowsでは仮想画面(オフスクリーンと呼びます)を使うのは普通の事ですが、私が仮想画面を利用してゲームを作っていた当時としては、このようなやりかたは少なかったようです(普通は仮想画面と実画面の内容は一致しないが、私が使っていたのは仮想画面=実画面の内容だった)。グラフィック画面を持たなかったMZ-700ならではの芸当だったともいえます。
 さて、今までちゃんと仮想画面に描画していた自機のショットをなぜ直接画面に描くようにしたかというと、ちゃんと進んでいるように見せたい、という理由からです。まずショットは、自機が1コマ動くうちに3コマ進みます。という事は1回仮想画面の内容を実画面に転送した後、仮想画面にショットを描いたのでは、いきなり3コマ進んでいくように見えてしまいます。これを防ぐため、ショットが1コマ動くごとに、実画面にショットを描画するようにしました。このため適度にちらつく上にスムーズに移動しているようにみえるというわけです。




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Update : 1996/03/10, 2003/11/20